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<<   作成日時 : 2018/03/12 19:40   >>

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風は強くてきままで
向きは定まらなくて
きっと
カサの内側への風をうけたら
骨組みは折れて
逆に空に向かってすぼんで
もうこのカサは使い物にならなくなってしまう

風向きをみて
両手でカサをささえてじりじり歩いていると
弄ばれているみたいで
手ごめにされてるみたいで

めんどう
カサをたたんでしまおう

カサがなければ風の強さは気にならない
けれども
雨は
小降りながら
冷ややかにたたきつけてくる

循環バスを待っていればよかったのに
たった5分
でも行列のなか
前と後ろをカサでおしこめられるのがわずらわしくて

足早に歩きながら
わたしはどこに行きたいのだろう
いちばん行きたいところはどこなのだろう

そんなことにかまけて気分を紛らわす

不在の男や女のいるところ
自分の都合のいいように物語をつむぐことができる
そんなところ

いわば墓場
昨夜の夢に故人が出てきたせいもあって



男は
ちょっと気弱でヒトがよくて
気晴らしに居酒屋のカウンタ−で酒を飲む
すると頑固に一途になって

女は
男になんて関心がなくて
雨に濡れた壁によりかかって
ヒトの波の途絶えるのを待つ

わたしは
わたしの役柄は
除けものでも
紙くずでも
なんでもかまわない
勝手に使いまわすがいいさ

幕が開く
そんなわたしたちが登場する
時は春とはいっても底冷えのする真夜中
所はまったくエンギでもない谷底
BGMは
このところ一曲リピートが続いている
カサンドラ・ウイルソンの「奇妙な果実」

男が黒い横長なものを重々しく引きずって
女はぶらぶら後をついて

男「手伝ってくれてもいいじゃないか」
女「ごめんだよ」
男「おまえのためにやってあげてるんじゃないか」
女「あたしはいつだって不在」

唐突に
暗転
場面が変わる

舞台の一画の高くした奥の台の上の
谷の上の
アパ−トのひと部屋に明かりがともる
女が
袖をくぐってあらわれる
コ−トを脱ぎながらため息をついて
濡れた髪をタオルで拭いて

わたしは
女の影になって
足早できまぐれな動きに這ってくっついて
前になったり後ろになったり
いつまで続くのか

わたしは
いいかげんくたびれて
なんとなく腹だたしくなって
虫けらの大群になって
床を離れ
女に襲いかかる

女は
台所に走って包丁をかまえて戻ってきて
わたしを刺しまくる
ぐさりぐさりと
そこに男がやってくる

男「なにをしてる」
 
背後から女を抱きしめる
刺されていたのは虫けらなんかではなく
どこにでもいる
かっこうのわたしで 
血だらけでぐったりとして

女は
知的で
どこまでも冷静で
手にした包丁をだらりと落とし

女「幻影なんかじゃなかった」
男「襲われたのか?」

そんなこんなで男は女をかばおうとする
つい鳥肌が立ってしまうが
男と女は一緒に住んでいて将来を約していて
愛なんてコトバもでてくる
 
ふたたび暗転
冒頭の場面にもどる
 
男は
墓場の一角の大きめの墓石まで毛布でくるんだわたしをひきずっていく
そこで墓前の台石をトントンと足で踏む
女は
うしろ手を組んで
星空をあおぎ
 
男「ここに埋めよう」
女「そうっ」

男は
腰にさしたバールをとりだして
拝石にあて
腰をかがめて力をこめる
少しずつ納骨堂が開く
石と石の擦れる音を戦慄にして

暗黒が口を大きくあける
そこで

わたしは
再び濃い影になって納骨堂を
ぬっと這いでる
毛布の中にいるのはすでにわたしではない
わたしは不条理であり大量につもった野菜くずであり
竹林を縫う爬虫類であり

男は
地べたにひっくり返って泥だらけになって
その泥に記憶をこすりつけてじりじり後ずさる
女は
おそれいって
あきれかえって
苦笑して 

女「やぐらのなかであたしを抱いて」
男「そんな」
女「もぬけの殻の毛布もあるじゃない」



横断歩道にかかる
雨が激しすぎてわたしはびしょ濡れで
ついカサを

さしかけたところに
突風がきて

わたしの意志は嘲笑されて
カサは開きつくされ
その限界を一気に突破される

わたしは
ほんとうに見事なまでにもぬけの殻だ

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