戯れに

眠りながら目覚めたばかりの夢をみるのです いかにも現実味をおびて蒲団のなかで 何時かしら アイマスクのせいでカーテン越しの明るさはわからないけど もう明るくなりかけていることでしょう そんな思いにかられながら 横になったまま起き上がる前の 毎朝の全身のストレッチにとりくむのです 背中のあち…
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浜辺で

白く輝く砂浜から 黒ずんで足あとひとつない浜辺へ 一歩立ちいると 波が おしよせてきて わたしの靴を 裾を 水びだしにする 偶然のたわむれか 濡れようと乾こうと しょせん同じことなのか たまたま 必然の様相をおびて 太陽があらわれ隠れ 星がまたたき薄れ 霧がおしよせ立ち消え …
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仮面

序  妄想だから時代をどんなにさかのぼってもわたしは訝りはしなくて、 仮面をかぶった女は着物姿でわたしの前に立ったまま何か口ずさんでいる。 古語でのらりくらりとまるで呪文みたいに話すので、 わたしには理解しがたくて、 それでも女の時が、 位置が、 情念が、 わたしに向かって一歩踏み出すたびに明らかにさ…
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妬まない

ぼんやり歩いていたら 暗い路地の行き止まりにつきあたって 記憶の誤りにおもいしらされて きびすを返し そのとたんに おまえに会って おまえはノラネコ 背中がかゆいのか 転げまわって なんどもなんども 転げまわって くすくす笑って その場を離れそうもない でも羨ましがらない 妬まない …
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沈む

沈みがちな思いのままプールへ行こう 沈んだまま浮き上がらなくてもと 早めに家を出て 混みがちの電車に乗って ひとごみをかき分けて乗り換えて 混みすぎるモノレールに乗って まわりが気になっても ドアの前に立って息をひそめて外の景色を眺めていれば すぐ最寄り駅について 駅近くのコンビニでコーヒー…
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後悔

なんとなく 思いついたままに 選び 決めて 実行したから 記憶を探るまでもなく とりかえしがつかなくなって いくら悔いても 悔やみきれなくて 浜辺に立って 強風にあおられた砂にまみれ 目は煙った針に容赦なく刺され 涙を流そうとも効きめはなく 目をつむるほかはなく だからといって 痛み…
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黒い

何時に中途覚醒があろうとも、 朝の目覚めの時刻は多少の誤差はあってもほとんど予想どおりで、 時計を確かめることもなく、 『さて、起きるころ合いか』と脚を揉んだり二の腕をひねったり首筋を押したりして, 起きる準備をしていると、 アイマスクがはずれかけて、 いつもならその下側から、 薄手のカーテンをすかして…
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年のはじめに

爪のふち 親指のさきが荒れて わずかに切れて 水を使うと痛みがはしります テープをはるほどではなくても レモンを絞っていたら 沁みて おもわず呻いてしまいます まるでわたしが秘めていた毒が もれてしまったみたいです わたしはのどを緩め 指先をなだめて ヒリヒリしても そこを尽…
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書きとめようと

コトバをさがして 心の 器をかきまぜて これといった目当てもなく 書きとめようとする けれども 器には涙がおにあいで 話しコトバは水音に紛れ 書きコトバはすくっても指をすり抜けて いっこうに見つからない 気分は激しくなって水かさはまして大きく傾斜し あふれ こぼれ すっかり器は空…
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溶けて

木々を遠ざけたり近づけたり 道ですれ違うヒトをとがめたり励ましたり 壁をたたいたりさすったり 散歩中のイヌにやさしく声をかけたり脅したり 見るということは 相反して矛盾して わたしは立ち止まり 影を伸ばして広げて 踏みつぶしてしまおうかとおどけながらも 執拗なまでの能動と受動の揺れに悪酔いして …
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白い雲

師走の澄んだ青空にまばらにうかぶ白い雲 雲になじみの影をくわえほんのわずかの慰めをもとめようとしても実際は雲は形など持ってはいないあるいはどんな形でも持っている だからゆくりなくも慰めになどなりはしない その動機にかりだされるのは想像力ではないまして理性ではない くたびれきった体始まりも終わりもない虚無の…
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空を

疲れきって わたしは歩道のベンチにすわりこみ空を見上げる なぜか首をかしげて わけなどないのに おまけに 涙にまみれてしまう 師走の寒さのせい かどわかされそうな恐れのせい 夢を持てない無力感のせい そんなことはない 悲しみすらないのに せめて 頭を膝のあいだに入れて 目をふさぎ…
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お見舞い

寒い朝 曇り空 長らく入院してて ようやく退院したカレのお見舞いに 訪問時刻は前もって告げていて 早すぎるほど早く家を出て 駅舎内のお店でお見舞いの品を なかなか決めることができなくて あれこれ思いあぐねて 店内をめぐりめぐって ようやく選び 時間がかかりすぎても なんとか…
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砂時計

わたしの時を測ります 陽光にかがやく この砂時計で さらさら砂が落ちます 下のバルブの砂山には影がさして わたしは瞬きをくりかえし じっと見れば 砂山は単調に流れながらも 壁や電線やベンチがあって そこにヒトが佇み歩み走り 泣いたり笑ったり いたわりあったり傷つけあったりして たま…
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まどろみ

階段を下りていく 深く 黒くそまって めまいさえ覚え そんなわたしの耳に響く せわしない吸う息 吐く息 足を止めたおどり場はいつか和室になって その押し入れの中で 物音を立てまいと身動きひとつせずに 恐怖をおし殺して ぼくのすぐそばには マムシの生きたままつかった酒瓶があり…
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ふらふらと

プールでひと泳ぎして 外に出て ふらふら 朝 出がけには寒かったので 厚目の上着をきこんできたけど いまは 体は火照って汗ばむほどで 上着を持ったまま長袖シャツ一枚で 駅まで坂道をくだり ふらふら 転ばないように ちょうどいまごろは 真冬なみに着こんだヒトや えっ寒くないのって驚い…
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白い月

雲ひとつない澄んだ青空 ちょっと寒いけど気持ちがいい たったひとつの空白 あれは下弦の月 じっと眺めていると 月でのたき火の煙がひろがって どんどん立ちこめて 青空を隠して 灰色いちめんにして やがて 霧雨が降ってくる ああ 雨が降ったら 自転車には乗れないからさ ちょっとがっかり…
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読書の秋に

久しぶりに小説を読む 文庫本で13冊の長編小説のなかの一冊 もう何度か読んだので 適当に第一篇のⅡをとりだして パラパラめくると ところどころに ページのうえ角に折り目があって はじめは165ページ つぎは177ページ まだある 196ページ 352ページ 379ページ 最後は4…
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泳ぐ

初心者用のレーンにはだれもいない ゆっくり平泳ぎをして 潜水し 水のなかは 底面と壁面の青色にそまって 外からの金色の光で 斜めのしま模様になっていくつも交叉して 静かで まるで周りは固体になりつつあって わたしは 顔をあげるのが厭わしくなってしまう しばらくすると 水底の黒い横筋がか…
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長い夜

先生が言う    いい    ベッドに入るのは眠るときだけ    早くからベッドに横になって    スマホやタブレットでゲームをしたりドラマをみたりするのはよくない    たぶん    中途覚醒の原因はそこにある    毎日5時間前後の睡眠しかとれていないと思ってるかもしれないが    あなた…
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