うとうとして

うとうとして つい眠りこんでしまって 後悔の汗だくで起き上がりすわりこんで わずかの時間を費やしたに過ぎないと 自分をあざむいて 暗闇でなりをひそめるナルシズムに浸ったはらいせに やるせないバランスをとればいいさと 諦めて それなのにその夜は 眠ったきりよどんだ覚醒は訪れることはなく 目をそっ…
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ひとりカラオケ

すさまじい暑さですね 『おはよう』よりも 『こんにちは』よりも コンビニでの あたりまえのあいさつことばになって わたしにとっては 悲しさや苦しさの俯きになって 中途覚醒の追い風になって というのは 眠る前にエアコンで部屋を冷やし それから扇風機で4時間設定で眠りにつき とこ…
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待っています

『待っています』 ひとり用の木のイスも 粗末なベンチもあって たくさんのひとがいて ざわめいているなか 『待っています』 わたしはそっとつぶやきます でも なにを待っているのでしょうか だれかに呼び出されるのでしょうか そして なにかを強いられるのでしょうか そ…
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私的には

『わたし的には』 そう切り出されて 戸惑って わたしだけの むしろ秘密めかした影がはしって 怖気づいて 息を吸いこみ ゆっくり吐きだせば 影は遠ざかり なんてことはない いつものおしゃべりが無意識のまま口を出て いかにも一般的になって 話しことばだけでなく 書きことばにさえ使われ…
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反転する

過ぎ去った時制が 「き」だろうと「けり」だろうと「たり」だろうと どうとどめようと関心はない 話しがいかにも懐古的で それを近似的にあらわそうと対照的にあらわそうと まして うすら寒い「た」で締めくくろうと どうでもいい わたしはわたしを感じ 感じたものをそのまま受け取る どんなに時を操ろうと …
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ひらけゴマ

こんなチビにだって虫のしらせはあってさ 丈の高い草と枝葉にふさがれた直立したくぼみに おいら まじめに向き合って 『ひらけゴマ』 上に開くか横に開くか それはわからなくて でも きっと開く おいらの切ない願いがきっと届く 扉のひらいたさきの暗闇は おいらの おいらだけの秘密…
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酸っぱさ

忘れものにおどおどして 落としものにひやひやして だいじょうぶだよって自分に聞かせてほっとして でも内心ではいらいらして 行って帰って ともかく スーパーで買ってきたばかりのレモンを半分に切って しぼり またしぼり 種を取り払いながら いらいらもついでに取り払って グラスに流しこんで …
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ぶらついて

汗ばんでくる曇り空のした これといった当てもなくぶらついていると 神社の参道の端にひとだかりができています ふと立ち寄ると 骨董品の蚤の市がひらかれているのです 幸運のしるしみたいなオブジェをさがしてみよう 役に立ちそうもない欠けた部分でもいい 意味が分からない針金の幾重にも曲がった塊でもいい …
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傲慢で

昨夜あたし イギリスが舞台のドラマをみて 簡単に言えば 若い大物政治家がレイプ犯として告発されて 法廷でやりとりする たわいもないもので ほとんど予期した通りに話はすすみ これっぽっちも胸に迫ることはなく そんな あれこれを思いだしていると とつぜん あたしの名をよぶ声がして ふりかえると…
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ぴょんぴょん跳ぶ

ほら穴から濡れた頭をだす 眩しい光りがあふれ 目を凝らすと そこは砂浜で たくさんの水着姿のひとがびっしり 横になってならんで陽ざしをあびていて わたしはどこへ行くというあてはなく それでもひと気のないところへ行きたくて ひととひとのわずかな隙間を ぴょんぴょんと跳ぶ ぴったりくっ付いた腰…
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どうでもよくて

あかちゃんの泣き声で目を覚まし 二階のはずれのほうで いつまでたっても泣き止まず どうして泣くのか お腹が空いているのか 粗相をしたのか どこかに痛みを感じているのか あれこれ思いめぐらし それにしても どうして母さんはあやさないままで放っておくのか 不思議に思いながら 泣きやんでと…
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ゴミ入れ

おまえの 恥ずかし気な赤らんだ頬と そむけた切れ長の目と 逃げるように足早に立ち去った後ろ姿が 眠りのなかで よみがえり わたしは憐憫の情にとらわれ 立ち止まり 構内の細い道を遠くからゆっくり歩いくる影に見入るが 時空にとらわれるでもなく 現実とは反転し 一足飛びに目の前に立って おま…
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幸せのかけら

お風呂の タイルとタイルをくっつける白い直線の 剥がれた黒い穴に マイナスドライバーをさしこみ くたびれた穴をさらにひろげ 幸せの 砕けたかけらに見たて マイナスかプラスか決めてのない亀裂にして そこに 白いシリコン補修剤を塗りこめば もう穴は消えて 白い一本道 あるいは十字路に 隅ではT…
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虚しくはない

ヤツは苦々しく言った なんてバカか こんなこともわからないのか オレはうつむいた ビールのジョッキを片手でもってちゃぶ台においたまま 座布団にあぐらをかいたお腹のあたりの暗がりに 目をすえて そんなこと わからなくても恥ずかしくはなかった オレの世界をはみ出したものに オレは関心はなか…
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男の時と女の時

パイプイスに腰かけて 円陣を作って 見知らぬ他人を点線で 曲線で あるいは暗幕で みつめ眺めあっていれば 機をうかがって 笑顔をたやさないリーダー格の青年が 隣りの女の胸もとに片手を差し伸べる 女はイスから立ち上がり まわりのひとを見回して 会釈し 秘密を打ち明ける 訥々と …
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いっぽん道

わたしの わたしだけが辿ってきた道をふり返れば 道しるべの札も石もないふた股みつ股の道にでくわして たまたま うなだれて進んだ細い道を あるいは 遠景に魅かれつつ踏みこんだ坂道を はからずも 下足に賭けて落ちた藪のけもの道を わたしの意志による必然か なんの思惑もない偶然か 選り分け…
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まどろみの

うとうとしたまどろみのほとりで 立ち上がり よろめいて歩み すぐ立ち止まって 目まぐるしい月の舟のへさきで おだやかな風をうけとめて ゆらめいて 氷が光りをなげるジンに酔いすぎて 絶えずふりかかる水飛沫をうけとめながら 寝息をそっと合わせて 横顔をしめつけた耳にそれをきいて 数をかぞえれ…
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待ってて

スマホに着信履歴があって それは 元日に終活なんてことばをそえて 年賀状のやりとりの終わりを宣告したかれ 中学時代の野球部のヒーローで 女の子にも人気があって わたしの憧れでもあった幼なじみ 名前も似てて わたしはMーちゃんで かれはMー坊ちゃんで コロナ禍のひろがる直前に会ったと…
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寒のもどり

寒の戻りか花冷えか どちらにしてもきびしくて 手が冷たい 首筋も足もともふるえる わたしは適応する力が弱くて 長袖の下着にすればいいのに 手袋をすればいいのに 自転車なんてやめて背中を丸めて歩けばいいのに つい 夏の兆しがみえたので 冬物はもう洗って片付けたので いまさらなので …
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気ままに

あいつに 万引きしてこいと言われ 命令され 学校の坂を下りた突き当りの文房具屋で もう忘れてしまったが 消しゴムでも鉛筆でもノートでもなく なにか盗りにくいものを 帳場のおじさんを気にして オレの オレの存在をすっかり消して 手に入れようと その行為には なんど繰り返そうと慣れるこ…
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