泳ぐ

花びらになって ワンちゃんになって 寄せてくる水をあびてグイと飲みこんで むせて 苦しくなって それでもまわりは知らないモノばかりで ほっとして いつか クロールするわたしにだれかが言いはなった 『体が揺れすぎだよ』 的確すぎるアドバイスに うなずいてうなだれて わたしはもうクロールは…
トラックバック:0
コメント:1

続きを読むread more

たわ言

 ある人にコンサートに招待されたが、あまりにも当日までの期間がながすぎて、『もしそれまで生きていたら必ず行きます』と答えて失笑をかって、わたしのさりげない言い訳はたしかに軽すぎてお笑いではあるが、ときにはそれがへんなしこりになって心に刻まれてしまうことがあって、『発言に気をつけなよ』って自分に言い聞かせるのであるが・・・…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

閃光

玄関を出る はげしい雨と風 カサを開く 下からの風にあおられてカサは裏返しになって空に持っていかれそうになって あわててカサを閉じて こんどは注意深く半開きにして バス停に向かう 靴は濡れ ジーンズの裾は色が濃くなりべたついて 車道との区別のない細い道のバス停 車は徐行してくれても 川になっ…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

歩を進め

分かれ道で選んだものを思い出そうとして やみくもに手探りしても かいがないのです 自分を目くらましして まったく関心がないふりをして おだやかに 自然に なにくわぬ顔で歩を進め あり得なかったことを考えても あり得たことを思いやっても どうせ 灰になって 手のとどかないところにまい散ってし…
トラックバック:0
コメント:4

続きを読むread more

どっちつかず

昼の喧騒とまばゆい光りに嫌気がさして 木影のベンチで イヤフォンにハードロックを流し 現実離れのした記憶にとりすがって 貧乏ゆすりをしたり鼻歌をうたったりしていると いつか影は退いて おいら 光りまみれになっていて 汗が額をつたってゆっくりこめかみにたれてきて あわてて 隣りのベンチにうつって 物語…
トラックバック:0
コメント:6

続きを読むread more

幻覚

梅雨の晴れ間に 見知らぬ町の 見知らぬ通りを歩き なにを探しているわけでもないのに 頭をめぐらせて 訳もなく歩きつづけ 日ざしは強くて 日陰をえらんでも くたびれて 疲れが波になっておしよせてきます その波は幻聴になってわたしを襲います   もうおよしよ   記憶にすが…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

シンメトリー

まどろんでいると まぶたの裏に レモンの実が 闇を占有して黄ばんで楕円形に膨らんで 横たわっています どちらが先端なのかはわかりません ちょうど真ん中に縦の線が入っていて いちど包丁を入れて またくっつけたみたいです その線にはうっすら液体がにじんでいます 奇妙なのは 切断のあとを境…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

だるまさんがころんだ

『だるまさん』 ゆっくり音節を区切って それから 『がころんだ』 そう早口で言いきって振り向いて あからさまに動いている子を さがしても だれも名指しすることはできない みんな固まっている ぼくは 桜の木の幹に手をあてて目隠しして 薄闇に駅舎の時計を透かし見る 秒針はない …
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

だいじょうぶ

小雨が降ってきて 空を眺めて だいじょうぶ 激しく降ることはない すぐやんでしまうにちがいない ところどころに青空がのぞいているから そんな思惑にひたって上を向いて歩いていたら だいじょうぶなんかじゃない ちょっとした段差につまずいて転んで ベタっとぶざまに倒れて なんとか両手をついた…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

蹂躙して

古代に魅せられて 縄文式土器をまねて造形して しばらく放置してから 焚き火で焼いて 煙が目にしみる 涙をにじませて風に舞う煙から逃げながら それでも見守りつづけ ところが焼成中に われて砕けて わたしの心も破損する それでも 破片をひとつ残らずかき集めて 組み立てる 色合いや…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

香り

通りにそって 遠くの横断歩道にいたるまで 切れ目なくつづく細長い花壇の 紫の花に顔を近づけて 香りをかいでみると 懐かしい 幼いころの 草や蔦や茨まみれの断崖にそって 鎌をふるって 洞窟につづく裂け目をさがして わたしの わたしだけの秘密の基地をもとめて くたびれて 足を投げ出してすわり…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

めぐりあい

あなたと 目があった途端に 胸騒ぎがして あたしはうなだれて 耳さえふさぎたくなって 急ぎ足であなたのわきを通り過ぎました きっと 頬を赤らめていたことでしょう でも あたしには なにひとつあなたに恥ずべきことなどないのです むしろ あなたこそ いつも多量の鎮痛剤におぼれて 焦点の…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

あっけなくても

図書館で ふと目についた小野リサのCDを借りて そのあと 退屈まぎれに 書架から適当なながさの小説をえらんで テーブルについてページを繰る 主人公らしきオトコの 行動や思いが綴られて なんとなくそのオトコのことがわかりかけてきて 全篇のなかほどまで読み進んで とたんに オトコ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

まやかし

なにか 必要なものがわたしには欠けている わたしを奮いたたせ わたしを行動にかりたて わたしをコントロールする なにかが たとえば ジャグジーで休みながらヤツが語りかけてくる 泳ぎの記録や 自慢たらしい日常や たわいもない夢 なんて話し好きなんだ わたしはいいかげん飽き飽きして…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

くつろいで

細く曲がりくねって急な 山道をのぼる 霧雨が降っていて 道はぬるぬるして すべって転びそうになって 急ぐ必要はないのでゆっくり 一歩一歩踏みしめて のぼる 墓地の裏手の林のトンネルをかがみがちにすすむと いつか右側の木々は落ちこんで 梢をみせて それとともに 墓地をまえから支える竹…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

夢うつつを

道に迷い 黙々とぬかるみを歩き いつか 湖のほとりにたどりついて 目覚める 眠りについてから どれだけ経ったことだろう まだ早すぎる たわいもない番組を聴きながらふたたび眠りにつこう 続きが気になるシリアスなものではなく かといって まったく関心をひかない耳障りなものではなく…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

涙目に

目にごみが入って痛みます 指でまぶたをこすって 涙をためて お願い 涙といっしょに流れていって なんども瞬いて 涙をあふれさせて ふと 見あげると マンションの 青い壁にはさまれた一画が 雨戸が閉まっていて 日がさして金色に輝いて ベランダの取っ手を曲線にして あちこち途切れて…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

カラスに

カラスが低く道路を切り裂いて ビルのはざまに消える オレは切り裂かれたまま ぼんやり 時を引きよせる おととい さんざん競っておまえを蹴落とし 見下し きのうは いともかんたんに逆転され 笑いものにされ きょう 競い疲れて肩をたたきあい 手を握りあい お互い讃えあう でも …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

いいじゃないの

排水溝のフタの上を一枚ごとにわたり歩く 速すぎても遅すぎても一枚ごとには歩けなくて わたしは このところお気にいりの「ポリス」の 『見つめていたい』をイヤホーンで聴きながら 鼻歌で ステップに軽やかさと重みの バランスをとって 一歩一枚 一枚一歩を守って 進み ふと さっき…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

なくして

なぐさみにあれをしてこれをして くたびれきって さて帰ろうと モノレールに乗ろうとして気づく スイカがない どこのポケットをさぐっても サイフのカードを一枚一枚めくっても 見当たらない 降りる駅で 無人駅で ホームを過ぎて出口の階段に通じるあたりで スイカを垂直にタッチするので つ…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more