吠える

近所のイヌが吠えまくる 散歩ちゅうのイヌが通りかかったせいか 飼い主が 静かにしなさいとたしなめるが聞こうとはしない うるさい そんなに吠えまくらないで アイマスクをしているのでまぶたは暗いが 夜が白みはじめる少しまえに目覚めてしまい いまでは まわりはすっかり明るいはずだが 体は…
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森のなか

森のなかの 自然のまっただなかにわたしはいるのに 夕日に輝く木々や草花や虫けらは なにも語ってくれないのです かつて 木立はわたしによく話しかけてくれました 悪態をつかれ除けものにされたとき ひとり うなだれ森に入って 木の幹に両手をつき ドラマにあったように くやしさのあまり ひたい…
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梅雨を

路地であそぶ子どもたちの声がひびく 犬や猫の鳴き声よりも 小鳥のさえずりよりも 工事現場からはじける物音よりも わたしを逆なでして 苛つかせて 窓を閉じても 声は少しもさえぎれなくて なのに 風はさえぎって部屋の熱気がこもって 扇風機をまわして暑さをしのぎ さらに『まぶしい夏』で耳をふさぐ …
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灯台で

展望台で 歩き回りながら海と山と空を眺めて 遠く思いをはせて あれやこれやで胸をいっぱいにして まるで風船になって 満ちたりて 軽やかに ぴょんぴょんと急なはしごをおりて 踊り場に出て そこから螺旋階段をおります おりるにつれて しだいに 風船はしぼんで 閉所の抑圧にさいなまれ ひしゃげて…
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コンパの夜

私鉄の駅の近くの通りの地下口 おりきってドアを開けると すさまじい騒音が 有線放送から流れる歌とおしゃべりと グラスの擦れとシェーカーでふる氷のぶつかりと 靴音と衣擦れと わけの分からない軋みが波になって 寄せては返し 寄せては返す おいら 店内のドア近くの壁に沿った階段を上がり なにやら記…
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スポットライト

闇を切り裂くスポットライトはいくつもの視線を誤らせます これ見よがしの 誇らしげな大見得を浮き彫りにしながらも その存在そのものを薄っぺらにしているのです 広大な闇の中にこそ とらえ難くえ難いものがひそんでいて いかにも その姿をあらわすときを いまかいまかと待ち構えているのです わたしは隣のお…
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うたた寝

ちょっとだけうたた寝をしたばかりに 夢の川で舟をこぎながら 「黒の舟唄」の詩と旋律にのって 思いがけない別れの 対面した堤でのつまずきと 赤くそめた頬と 急ぎ足の 知った女の姿に戸惑いながら 調子っぱずれでも渋い いまに連なる ひとつの 結晶のきらめきで サングラスの奥の瞳にひびを入れて …
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目をそらし

行きかうヒトから つい目をそらしてしまいます 妄想であることは知っていながら きっと 言いなりになりそうもない 重苦しい動作に 眉間にしわを寄せて あわれむような眼差しに おしゃべりを拒む 耳を閉ざす仕草に そんなわたしに だれもが悪意を抱くと思ってしまうのです 白日のもとにさらしてし…
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メガネをはずして

メガネは出窓の床板のうえに無造作に 逆さになって ほこりまみれで レンズはくもって ずっと放置されていて 少しまえまで このメガネは 外に出るときは ほんの少しだけ顔の一部になっていて ほんの少しだけ不可欠のものになっていて 手離せはしなかったのに 今では マスクに面倒がられて 追いやら…
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しなる湾

湾のボーダーラインは写真か あるいは地図のうえでしか つかめない 実像は上空のたかみからしか 眺められない 片足を組んで手を握る しなりの深奥の 浜辺からは 岬が 海辺の町が しきりをつくり さらには 水平線さえも煙った半島が 小島が よせてきて あれこれ せわしなくて ぶれ…
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いつかまた

わたしはおまえの話を聞こうとしてここにいるのに おまえはTVの囲碁に見いっていて それでも 目は碁盤をうめる白と黒に操られているだけで 心はどこかをさすらっている 仕方がないからわたしも囲碁に見いって 「ああここでは切りだよね」 なんてわざとらしく声かけしても ともに耳をうつ 白と黒の碁石の…
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夕日

夕日がさしてくると 森は赤と黒の断片になって あてもなくさまようわたしも その一部になって溶けきっていることでしょう さっきまで わたしは金色に光った 緑や茶や白や青のたくさんの色にかこまれて 記憶の涙目に 傷みの物語や儚く追いすがる夢をただよわせていたのです 時と所をくゆらせて マンホールの…
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春雷

あれは春雷か なぜか 水平線を切り取った岬から目を離せなくて 左目のすみに黒い雲がたちこめて ときには閃光がよぎり 追いかけるように 鈍い音が響いてくる 耳をすまし目を閉じれば よくわかる あれは春雷なんかじゃない 足音が ばたばたと床をけって 『だいじょうぶか』 そう叫…
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問いかけて

そんなに関心があったわけではなくて なにか質問はと 先生が話のしめにぼくたちを見まわしました にこにこして優しげで それでいてどこかせわし気で きっと先生の心のドアをたたきたくて あるいは ドアにぴったり寄りかかりたくて ぼくはつい問いかけたのです ほんとうに 答えなんてどうでもよかったの…
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マスクが

マスクが まっ、すくなくて ますます苦になって まっ、すぐには必要ないけど 帰ってまっすぐ 洗います、くちから外して でもそれってまずくない? だって マスクをしないと ジロジロまっすぐ見られて 気まずくて いやますクシャミでもしようものなら 魔、すくいようがないわね! まず…
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水玉模様

灰汁をとるのに使ったお玉を 水道のだしっぱなしの水で洗うとき いつも気を付けてるのに きっとやってしまう おかしいな やっぱり思惑どおり お玉にたまった水があふれてはねて まるでねらいすましたように グレーのTシャツにかかり 黒っぽいちぐはぐな大きさのドットの模様になって かすかに上下して …
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さようなら

一 静かな学校のグラウンドを右に 駐輪場もがら空きの図書館を左にみて この曲がりくねった細道はひっそりとして 小鳥の鳴き声ばかりが響いて いや そんなことはない わたしの足音が鳴り 地面が軋み 擁壁のうえの草木が風に揉まれ ちいさな花びらがひらひら舞いとび 曲がり角からあらわれた数人の観光客…
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「ミリオンダラー・ベイビー」

「ミリオンダラー・ベイビー」、 クリントイーストウッドの作品で、 公開された当時観ようと思いながらも何となく観る機会がなくて、 なのに、 Netflixで見かけてダウンロードしたけど、 やっぱりずっと放置したままで、 いつかそこには、 あと少しで消去されますとのコメントがついていて、 2時間あまり…
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かぞえる

おいら なにかというと数をかぞえる 時計の針を つま先をのばす歩みを 肩にかかる重さを 彩りをそえる空間のひずみを かぞえながら なんとかバランスをとろうとする だからおいら いつだってセンチなヤツだっていわれる いじいじしてぐずぐずして じめじめしておどおどして 不幸な星の下…
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悲しき願い

道路わきに止まっていた車が 急に動き出して 自転車のわたしはあわてて急ブレーキをかけて わずかによけて その気配に気づいてか 車は止まり わたしは車をすり抜けながら 背後をふりかえり 光の加減で運転席がよく見えて そこで氷りついている運転手を 睨みつける わたしはバス通りから路地に入り こ…
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