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何か書きしるそうと思ったのです。
時の重みにずるずると押し切られそうだから。
生きていることがとても頼りなげだから。
目も眩むほどの高みで、
孤立して、
地の底から吹き上げてくる霧につつまれて。

わたしを支えているはずの、
岩や、
地面を突き上げてまた地面にねじり込んでいく幾重もの根や、
病葉や、
無数の生き物の死骸の堆積や、
あれやこれやのその上に立って、
息をひそめ、
目を思考にゆだねていると、
いつしか濃い灰色に囲まれて、
わたしは動くエレベ-タ-のなかに閉じ込められて、
ゆっくり下降しているのです。

だれにも譲れないわたしの領分があります。
あるはずです。
だれに何と言われようと、
罵られようと、
うらまれようと、
無視されようと、
エレベ-タ-のゆらめく壁にはほんのり青い狐火が浮き出てきます。
それは夢の終わりにいつもちらついたものです。
近付くものを凍りつかせてしまう、
禁忌の、
禁断の炎です。
たとえば決してわたしは消えません。
果てません。
朽ちません。
どんな風が吹きすさぼうと。
どんな波が襲おうと。

扉がひらきます。
せせらぎの音が聞こえます。
チッチッとなく鳥のさえずりが響きます。
ながれる霧が虹色に映えます。
ここは地底。
きっと書きしるすことなど何ひとつなかったのです。

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