いつだってだれだって

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立木に寄りかかって
茂った木立ちを眺めて
そういえば

若々しい苗木を植えることができたら
オレがここに居たって証しになるから
もう消えてもいい
むしろ
はやく植えて
はやく消えたい
そう思ってた
どうしてかっていうと
オレはオレの身代りにオレを植樹することができる
それを見つめればもうこんなところにようはないって

瞬時に巨大化したオレの木を仰ぎみて
幾人ものひとが
なんて心が休まるんだろうかとか
太い幹をさすって抱きしめて頬ずりして
悠久の香りがするねなんて
つぶやいたりする
そうなるはずだって思ってた

けれども
どんな軽はずみな作業でも
自分の手を土まみれにしたら
どんなものだって世界でたったひとつのもの
どんなに日当たりが悪いところでも
どんなに干からびた地面でも
切り立つ急斜面でも
だれの目にもとまらなくても
まっすぐ立たせて
ぺたぺた土を固めて
一滴の涙をそそいだら
いつだって
ここにいた証しをとどめることになるにちがいない

オレはまったくどうでもいい薄っぺらなものを想定して
おろかにもすがってた
でもそんなの幻想
なにもありはしない
だれも立ち止まろうとはしなくても
たちまちに枯死したとしても
永遠も刹那もなんの変わりがあるだろう
それこそが真実

だから
じっと見つめればいい
まっすぐ目の前には
剥がれ落ちそうな樹皮に
不気味な空洞の
あるいは滑稽な渦巻き模様の節がはりついて
ときにはピンク色のふくらみから薄緑色の芽がまつ毛になって風にそよぐ
ずっと目を落とせば
地下には根が日々増殖して
いくつにもいくつにも枝分かれして
深く深く伸びていく
それは目に見えない
けれども感じることはできる
吸いあげることができる
地上の枝や葉の伏線にすることができる
そして
目をひょいとあげれば
さきのとがった樹冠が
天空に
なにもかも貫流して
ひとつになって
ほんとうにひとつの
ゆるぎない樹木になってそびえたつ

いつだって
だれだって
きっと
植樹なんてしなくても
そんな証しをまの当たりにすることができる

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