夢うつつを

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道に迷い
黙々とぬかるみを歩き
いつか
湖のほとりにたどりついて

目覚める

眠りについてから
どれだけ経ったことだろう

まだ早すぎる
たわいもない番組を聴きながらふたたび眠りにつこう

続きが気になるシリアスなものではなく
かといって
まったく関心をひかない耳障りなものではなく
ちょっとだけ気になって
穏やかで
澄んだ
心地よいナレーターの番組を

音楽は避ける
眠りに誘うなんてうたってるのにかぎって
きゅうに楽譜と離れてちぐはぐな変奏になって
眠りの手招きをへし折るばかりで

イヤホーンで

眠りについたときのままイヤホーンは外れもしないで
耳についてて
われながら
なんて寝相のよいことか
悲しいほどに

タイマーをかける
蒲団に横になったばかりの時よりは短く

番組が切れる頃合いはわかる
もうそろそろ

ほら

音声はやんでも
イヤホーンを外すのはなぜか面倒で
腕を動かす気力がわいてこない
なのに
寝返りをうつと
腕にかかる重圧が気になり
伸ばしたり引き寄せたり
重ねたり離したり
いらいらがこうじてきて
また寝返りをうつ
結局
腕の安らぎの場は右でもなく左でもなく
仰向け
腕の居心地はやっぱりこれがいい

なのに
この姿勢はあまりにも隙だらけで
眠るために胸の空洞をうめる闇がいかにも寒々しく
心もとない

それでも
肉体の意志はわたしを手助けしようとして
現実の検閲の目をかいくぐらせて
わたしを夢うつつの波に乗せる

わたしは小舟の櫂をこぐ

目のまえの岸辺には

小舟の右揺れで
スポットライトをあびた夜桜の
花びらが舞って
湖面をいろどる
軽やかに
穏やかに

左揺れで
どこからか意味不明な話しコトバがきこえ
いつかそれは書きコトバになって
文脈になって
沈んでいく
重々しく
痛々しく

どちらを気にとめたらいいのか
わたしには決めることはできなくて
夢うつつを
ただ
あてもなく左右に揺れる

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