ふらふらと

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プールでひと泳ぎして
外に出て
ふらふら


出がけには寒かったので
厚目の上着をきこんできたけど
いまは
体は火照って汗ばむほどで
上着を持ったまま長袖シャツ一枚で
駅まで坂道をくだり
ふらふら
転ばないように

ちょうどいまごろは
真冬なみに着こんだヒトや
えっ寒くないのって驚いてしまう
半袖シャツにサンダル履きなんてのもいて

自分はどちら側に寄っているのかしら

体に重みをかけるのは嫌いだから
薄着が好みだが
寒さには弱くて
なんとか煩わしくないほどにバランスをとって
ふらふらしても
足もとに気をつけて

坂道をおりきって
広い通りに出て少し進むと
道路の脇に小さなホールがあって
なかにエレベーターがあって
そこで二階に上がるとモノレールの無人駅

ホームに立つと
なぜかどっと疲れがまして
イスにすわりたくても
イスは壁にくっついたままで
イスをおろす気力はなく
いっそうふらふら

しばらく向かいのホームのポスターをぼんやり眺めていると
やっとゆらゆら電車が入ってくる

朝の混雑はどこへやら
電車内はがらがらで
四人掛けのボックスにひとりだけいるシートの
斜め向かいに腰を下ろし
なんの気なしにちらっとそのヒトを眺めると

マスクを通して
咳き込んで呻いていて
いや
なにやら呟いて嘆いていて
いや違う
うきうきとしてなにか歌を口ずさんでいる

まぶたは二重が三重になり
深みをもってかえってきらきら輝いて
いやそうではない
むしろたるんで細まってくもって

さらに
いくつもの擬態音が揺らめいて

どれを選んでもいい
わたしの一瞬にはいくつもの虚構がひろがっていて
否定して否定してさかのぼり
ゆらゆらして

いつか
モノレールの止まるその揺れで
わたしは覚醒し
それから
意志をふりしぼり
たったひとつ肯定する現実をとりもどし

ゆったり立ち上がり
終着駅で
みんな降りてしまってガラガラの電車内からそっとステップして
ホームに出て

ほんのちょっとでも座ることができたから
ほんのちょっとでも居眠りすることができたから
ほんのちょっとでも疲れがとれたから
それでもやっぱり
なりやまないふらふらに
自嘲して

駅を出て
下方の商店街のヒトやクルマや看板を見下ろして

つきあたりの階段で
行方は定かでなくても

自嘲にお似合いに切り刻む
近道をさがしてみよう
不吉な前兆をうかがってみよう
あっちふらふら
こっちふらふらしながら

ところが
足を踏み出そうとして

わたしはわたしを見返すと
なんのことはない
わたしはすでにぼろきれになっていて

きびすを返し
いつも通り右折して
乗換駅に向かう

まだ体は火照っていて
気温が上がったせいもあってか
上着を片手に持ったまま歩く

なりふりかまわずにふらふらとして





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