いっぽん道

わたしの わたしだけが辿ってきた道をふり返れば 道しるべの札も石もないふた股みつ股の道にでくわして たまたま うなだれて進んだ細い道を あるいは 遠景に魅かれつつ踏みこんだ坂道を はからずも 下足に賭けて落ちた藪のけもの道を わたしの意志による必然か なんの思惑もない偶然か 選り分け…
コメント:6

続きを読むread more

まどろみの

うとうとしたまどろみのほとりで 立ち上がり よろめいて歩み すぐ立ち止まって 目まぐるしい月の舟のへさきで おだやかな風をうけとめて ゆらめいて 氷が光りをなげるジンに酔いすぎて 絶えずふりかかる水飛沫をうけとめながら 寝息をそっと合わせて 横顔をしめつけた耳にそれをきいて 数をかぞえれ…
コメント:2

続きを読むread more

待ってて

スマホに着信履歴があって それは 元日に終活なんてことばをそえて 年賀状のやりとりの終わりを宣告したかれ 中学時代の野球部のヒーローで 女の子にも人気があって わたしの憧れでもあった幼なじみ 名前も似てて わたしはMーちゃんで かれはMー坊ちゃんで コロナ禍のひろがる直前に会ったと…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

寒のもどり

寒の戻りか花冷えか どちらにしてもきびしくて 手が冷たい 首筋も足もともふるえる わたしは適応する力が弱くて 長袖の下着にすればいいのに 手袋をすればいいのに 自転車なんてやめて背中を丸めて歩けばいいのに つい 夏の兆しがみえたので 冬物はもう洗って片付けたので いまさらなので …
コメント:0

続きを読むread more

気ままに

あいつに 万引きしてこいと言われ 命令され 学校の坂を下りた突き当りの文房具屋で もう忘れてしまったが 消しゴムでも鉛筆でもノートでもなく なにか盗りにくいものを 帳場のおじさんを気にして オレの オレの存在をすっかり消して 手に入れようと その行為には なんど繰り返そうと慣れるこ…
コメント:0

続きを読むread more