まよいびと

たわんだ電線をくぐって
夕日の赤い影になった鳥を追い
かと思えば
舗道の灰色のプレ-トにこびりついた黒い塊に
つま先をおしあて
あなたは
たゆたう風のままに
一歩を踏み出そうとする

どこで迷ったのか
いつ道を踏み外したのか
なぜここにいるのか
後先の知れない四つじで
海に突き刺す岬に背を向けて
光の放列にあとずさる街路樹になって
死臭をただよわす雑踏をふりはらう

いわば
あらわな心の底の蓋をあけたとき
ぬっと突き出た片手に
裸の襟首を掴まれて
ひらきなおった視線のさきに
道があるとでもいうふうに
あなたはいま
真新しい過去をつむぎはじめる


"まよいびと" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント