9月になって
一
コンビニの駐車場のベンチで缶コ-ヒ-を飲んでいたら
目のまえでガシャンと音がする
自転車が倒れ男の子が起き上がろうとしている
二の腕の内側の日に焼けていない白い肌に
斜めに幾筋かの擦り傷がはしって
血がにじみはじめている
だいじょうぶ?
オレは倒れた自転車を起こしながらたずねる
半ズボンの膝もすりむいたみたいだ
三角柱の隣の店の看板の影で涼んでいた老人がやってきて
さかんに男の子に話しかける
そしてふたりで水飲み場の方にむかう
オレは飲みきった缶をビンカンの箱にいれて
その場をはなれた
二
総合病院の待合室で
最前列の長椅子にかけてテレビの天気予報を見ていた
にわか雨があるらしい
隣のおばあちゃんがその隣のおばあちゃんに話しかける
あたしは死ぬならこの病院で死にたい
ひと呼吸おいて
(なぜかそのひと呼吸はとてもながく感じられた)
ふかくうなづきながら
あたしもそう
三
図書館の貸し出し禁止のエリアで
ある本のいちペ-ジをコピ-しようと
料金を入れようとしたら40円の入金表示があった
ボタンを押して出てきた硬貨を係りのおばさんに手渡して
きっと前のひとが取り忘れたのでしょう
しばらくしてエリアを出ようとしたら
さっきのおばさんに呼び止められた
コピ-のおつりを取り忘れませんでしたか?
もうかんべんして
外に出たら雨が降ってきた
かわいた地面に水玉をつくったかと思うと
あっというまにひろがって水たまりになる
久しぶりの雨を顔にうける
それにしても
あ-あ
ベランダに干してきた蒲団は濡れてしまうんだろうな
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