わかれ道
わかれ道で
きみは右に行こうと
ぼくは左に行こうと
いい張って
どちらも
辻から見える森に沿って流れる
小川につきあたるのに
へんに意固地になって
心に白い帳をおろして
風にへこんだり膨らんだりする
影絵を
草花や小魚や
飛び石や
岸辺の砂地や
思いつく限りの絵を
つくってみせて
過去からは
そんなにながいわけではないのに
サドみたいになって
未来からは
あしたとかあさっての短さなのに
マゾみたいになって
道のさかいに揺れる菜の花から目をそむけて
きみは右へと
ぼくは左へと
黙りこくって歩きはじめる
白い覆いは
昨夜の夢見
それとも出がけのわだかまり
本音をさらすのが恥ずかしくて
なんの気なしにおろした
歩きながら
ひきむしって
オブラ-トみたいにしわくちゃにして
口の中に放りこんで
もう唾液で溶かしてしまったのに
すぐに
川岸にたどりつく
せせらぎをよそに
ぼくは川下を眺める
きみは川上を眺める
川は蛇行して
うまい具合にお互いを眺めることができる
おとなじゃないけど
おとなげないよね
ぼくはもう一度唾を飲み込んで
小さい影に手をふる
きみもきっと
ぼくの小さい影に
手をふる
そして影と影はお互いに近づく
見えなくなって
また現れる
そのたびに大きくなって
春の穏やかな日ざしに
草をかき分ける姿がはっきり見えてくる
笑ってる
ちょっときまりわるそうに
指きりしよう
小指をかぎにして
ひっかけて
仲直りのしるしの
ホントに切るのは
ホントに誓うのは
ずっとずっと後にして
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