定食屋にて
ふと手がとまる
目がとまる
息さえとまる
どこかから
何をしているのって
問いかけられてるような気がする
無意味な字面の波のペ-ジに投げ出されたような気がする
そこでは
手足をバタバタさせたって
もがいたって
文字の切れ端が飛沫になってふりかかってくるだけ
それはほんの一瞬で
正面の皿には
もやし
豚肉
にんじん
にら
そう野菜炒めだ
箸でつまんだのはキャベツ
すこし焦げて醤油がにじんで
それを口に運ぼうとしている
もう一方の手にはごはん茶わんをのせて
右側にはみそ汁
小鉢の板わさ
左側には湯のみ茶わん
空のビ-ルビンと底に泡の付いたグラス
一瞬の余韻で目が泳ぐ
斜め前のカウンタ-のすみ
白い胡蝶蘭が闇に飛び込もうとしている
ひとのさざめきも聞こえてくる
風にのって
高くなったり低くなったり
あおられたり沈んだりして
その余韻もすぐ消える
理性が戻ってくる
体が止まったのはなぜ
おいしいまずいではない
腹がくちいひもじいではない
あれやこれやではない
でも
たんなる寝不足のひきつけかな
問いに問うのはうんざりして
キャベツを口にほうり込む
咀嚼する
お茶をお入れしましょうか
お店のひとが声をかけてくる
いいえ結構です
ビ-ル
お茶
みそ汁
食後にはコ-ヒ-も飲む
それでなくてもお腹のなかはもうたぷたぷ
溺れてしまいそう
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